神経系の講義資料

小児PTのメモ

管理者が訳した走り書きなので、詳細については必ず原文をご参照下さい.

こどもたちの屋内活動への参加における環境の影響

Albrecht EC, Khetani MA

Environmental impact on young children's participation in home-based activities.

Dev Med Child Neurol. 2017 Apr;59(4):388-394.

 

障害をもつこどもたち(男児222名、女児173名:1か月~5歳11ヵ月)の保護者395名に対するアンケートにより、家屋での活動に関する調査を実施した.

 

Pediatric Evaluation of Disability Inventory Computer Adaptive Test (PRDI-CAT)

生後から20歳までの課題遂行能力について介助者が評価します.日常生活動作

 

Young children’s participation and environment measure (YC-PEM)

YC-PEMはデイケア、保育園、コミュニティなどにおける子供たちの活動への参加の状況や環境の影響について介護者が抱く感覚を評価するものです.

脳性麻痺をもつこどものための小児リハビリテーションサービス:既存のデータソースが教えてくれること

Gannotti ME, Bailes A, Bjornson K, OʼNeil M, Grant-Buettler M, Dusing S.

Pediatric Rehabilitation Services for Children With Cerebral Palsy: What Can Existing Data Sources Tell Us?

Pediatr Phys Ther. 2017 Apr;29(2):179-186. 

 

 

様々な障害レベルのある脳性麻痺をもつこどもたちにおけるサービス使用状況やその効果に関する情報提供は国家的優先課題である.家族、医療従事者、番組制作者、政策担当者は、臨床意思決定やサービス計画のためにこの情報を必要としている.アメリカ合衆国における脳性麻痺児に関する情報(健康、機能、福祉、ヘルスサービスの利用)を含むデータソースは、我々の情報源のプラスになるかもしれない.我々は国、州、地方から14のデータソース(TABLE2)をもとに情報を得た.情報を使用したりアクセスするには特別な事項が必要であり、そこには詳細なデータも含まれていた.現在、データは政策、医療、プログラム開発のための重要な情報として提供されている.我々は今後の情報探求に関する疑問を提示します.また理学療法や当事者に有益になると思われる要素を紹介します.理学療法レジストリが保証されます.

 

TABLE2

国家、州、地方の14のデータソースから、どのような項目がサンプリング可能であるかを調査している.

3歳から7歳までの健常児の握力に関する集団ベースの研究 

Bohannon RW, Wang YC, Bubela D, Gershon RC.
Handgrip Strength: A Population-Based Study of Norms and Age Trajectories for 3- to 17-Year-Olds.
Pediatr Phys Ther. 2017 Apr;29(2):118-123.

目的)本研究の目的は、3歳から17歳までの集団から得られた握力のデータより標準値と方程式を知ることである.
方法)この研究は、横断的研究であり、被検者は2706名(男児49.2%、右利き91%)であった.「national institutes of health toolbox project」の正常域にいる子どもを対象とした.
結果)男児の利き手がより強い値を示し、年齢が増すごとに強くなった.男女別、また各年齢の標準値を求めた.左右と年齢、性差と年齢で交互作用を認めた.9歳以降では利き手が強かった.13歳以降では男児が女児より強かった.握力と性別・年齢・身長・体重は有意な相関を認めた.年齢と体重を説明変数とした性別の回帰式を求めた.結論)基準となるデータは、握力測定を解釈する指針となりうる.年齢別の経過は肉体的な成熟期間における種々の病変や握力の状況を調査するために有効である.

TABLE2 3歳から7歳までの握力に関数する人口統計学データ
TABLE3 握力と性別・年齢・身長・体重との偏相関係数(他の変数を制御して得られた相関係数
TABLE4 回帰方程式

脳性麻痺者における歩行の非対称性歩を減弱させるための視覚フィードバックと固有受容入力を伴う歩行トレーニング

Levin I, Lewek MD, Feasel J, Thorpe DE. Gait Training With Visual Feedback and Proprioceptive Input to Reduce Gait Asymmetry in Adults With Cerebral Palsy: A Case Series. Pediatr Phys Ther. 2017 Apr;29(2):138-145. 

目的:この症例報告の目的は、成人の脳性麻痺外来患者の歩行再訓練時における歩容の非対称性を視覚的にフィードバックの実行可能性であるか、またその方法により歩容の非対称性が減弱し、歩行速度・エネルギー消費・動的バランスが改善しているかを調査することです.
方法:歩幅や立脚時間に非対称性を有する歩行可能(10m平地独歩可能)な5人の脳性麻痺者(成人の脳性麻痺患者)に対して、The integrated virtual environment rehabilitation treadmill (INVERT) systemを使用して18セッションのトレーニングを実施した.トレーニングは2~3回/週.1回につき22分間、INVERT systemによるトレーニングを受けた.先行研究から得た検出可能な最小値をもとに検証した.
結果:全ての被験者の歩容の非対称性は改善した.
考察:歩行可能であり、視覚障害のない脳性麻痺者に対して、効果測定とトレーニング手順は実行可能であった.また、この研究における脳性麻痺者はトレーニングにより歩容とバランスが改善した.

Feasel J:The integrated virtual environment rehabilitation treadmill system.
EEE Trans Neural Syst Rehabil Eng. 2011 Jun;19(3):290-7
 https://modushealth.com/

図2 最適速度と最速速度における各被験者の非対称性と速度の前後比較.
図3 6分間歩行、エネルギー消費、four square step testの結果
図4 step watchの結果、一日の重複歩数、重複歩数の最大値

 

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Feasel J:The integrated virtual environment rehabilitation treadmill system.

EEE Trans Neural Syst Rehabil Eng. 2011 Jun;19(3):290-7

 

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https://modushealth.com/

心拍変動解析による自律神経機能評価

Pomeranz B, Macaulay RJ, Caudill MA, Kutz I, Adam D, Gordon D, Kilborn KM, Barger AC, Shannon DC, Cohen RJ, et al.

Assessment of autonomic function in humans by heart rate spectral analysis.

Am J Physiol. 1985 Jan;248(1 Pt 2):H151-3.

 

 

 自律神経節遮断薬の使用や姿勢変化から自然発生する心拍の「ゆらぎ」をスペクトル解析により評価した.背臥位での0.12Hz以下の低周波領域は副交感神経により全体的に調節された.低周波領域のゆらぎは、立位で増大し、交感神経と副交感神経が連帯して調整してそれを調整する.高周波領域のゆらぎは、呼吸頻度に応じて立位で減少し、副交感神経のみがそれを調整している.心拍とスペクトル解析は、自律神経機能計測において効果のある非侵襲的なツールである.

【方法】

8人の健常成人男性を被験者とした.呼吸はメトロノームに合わせて15回/分(0.25Hz)とした.2日間連続で昼の12時に肘正中静脈にカテーテルを挿入し、PM1時から4時まで立位と背臥位でスペクトル解析を実施した.その後、遮断薬を注入して測定した.1日目にアトロピン、プロプラノロール (β遮断薬)を注入して、2日目に6人の被験者に対して逆の順で実験を実施した(2人は継続困難であった).先行研究より低周波領域(LF)を0.04-0.12Hz、高周波領域(HF)を0.224-0.28 Hzとした.

【結果】

Fig1 姿勢における心拍変動の違い.背臥位と立位の心拍数とスペクトル解析.

Table1 アトロピン、プロプラノロール投与後の低周波数領域と高周波数領域のパワースペクトル帯の変化率.

最初にアトロピンを注入することにより、両姿勢でHF、LFともに有意に低下している.その後、プロプラノロールの注入してもほぼ変化は認められない.

最初にプロプラノロールの注入することにより、立位のLFのみ有意に低下している.このことからLFが交感神経系の活動を示しているように考えられる.

 

参考)

HFは、迷走神経活動の呼吸性洞性不整脈を反映されるものと考えられている.したがって副交感神経の活動を抑制するアトロピンを注入することでHFのスペクトルは減少することになる.

LFはMayer波と関連する心臓交感神経活動の指標として用いられる場合もあるが、否定的な意見も多い.

Atropine アトロピン

抗コリン作用を有する薬物である。具体的には、ムスカリンアセチルコリン受容体を競合的に阻害することにより、副交感神経の作用を抑制し、胃腸管の運動抑制、心拍数の増大などの作用がある。

Propranolol プロプラノロール (β遮断薬)

心拍をおさえ心臓を休ませる作用があります。作用メカニズムは、心臓にある交感神経のβ受容体を遮断することです。これにより心臓の拍動がおさえられ、血圧が下がります。高血圧症のほか、狭心症不整脈(頻脈)の治療に広く用いられています。

循環器系のほかにも、片頭痛に対する効能があります。この薬を予防的に飲むことで、片頭痛が起こりにくくなるのです。実際に、多くの臨床試験がおこなわれており、片頭痛発作を44%減少させることが示されています。処方の対象となるのは、発作頻度が多く日常生活に支障となるような場合です。

脳性麻痺児を対象とした最大負荷テストにおける心臓自律神経の反応

Amichai T, Eylon S, Dor-Haim H, Berger I, Katz-Leurer M.

Cardiac Autonomic System Response to Submaximal Test in Children With Cerebral Palsy.

Pediatr Phys Ther. 2017 Apr;29(2):125-128. doi: 10.1097/PEP.0000000000000368.

 腕時計タイプの計測装置を使用.運動中も計測可能である.

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https://www.polar.com/ja

 

トレッドミルによる最大運動負荷試験とその後の心拍と心拍変動に関する研究.対称は脳性麻痺児20人(6~11歳、GMFCS:1~3).安静座位、運動中、運動後のそれぞれ5分間測定した.結果変数は心拍数とRMSSD(連続して隣接するRR間隔の差の2乗の平均値の平方根;迷走神経緊張強度の指標)とした.反復測定による分散分析、多重比較にて検定した.心拍数はトレッドミル試験の最終ステージで安静時より増加した. RMSSDは、トレッドミル試験の最後の2分間で安静時よりも減少した.テスト前後の心拍数とRMSSDの平均値に関する有意差は認めなかった.脳性麻痺児の心臓システムは最大負荷テストに反応することが分かった.

 

TABLE1:基本情報

TABLE2:安静時の心拍数と心拍変動の値

心拍数,SDNN, RMSSD, SD1, SD2, LF/HF,

TABLE3:心拍数とRMSSDの平均値とその95%CI

安静時、運動負荷テストの最終段階、試験終了1分後、試験終了2分後

 

参考(http://www.trytech.co.jp/checkmyheart/glossary.html)

HR          5分間の全心拍数の平均値

Mean(ms)         5分間のRR間隔の平均

SDNN(ms)       5分間のRR間隔の標準偏差

RMSSD(ms)     連続して隣接するRR間隔の差の2乗の平均値の平方根であり、迷走神経緊張強度の指標

NN50      連続した隣接するRR間隔の差が50msを超える総数で、迷走神経緊張強度の指標

pNN50(%)        連続した隣接するRR間隔の差が50msを超える心拍の割合で、迷走神経緊張強度の指標

SD1        プロット散布図の縦軸方向の標準偏差

SD2        プロット散布図の横軸方向の標準偏差

脳性麻痺児の歩行スピードに関するリハビリテーションの効果 システマティックレビューとメタアナラシス

Moreau NG, Bodkin AW, Bjornson K, Hobbs A, Soileau M, Lahasky K.

Effectiveness of Rehabilitation Interventions to Improve Gait Speed in Children With Cerebral Palsy: Systematic Review and Meta-analysis.

Phys Ther. 2016 Dec;96(12):1938-1954. Epub 2016 Jun 16.

 

脳性麻痺児の歩行スピードに関するリハビリテーションエビデンスを追及する目的で実施した.最も効果的な介入を明確にすることが本研究の目的である.2014年4月までの文献を対象にして検索した.方法論に関する質のチェックはPEDroスケールを使用した.リハビリテーションの介入を含む歩行スピードを結果として記載しているRCT(ランダム化比較試験)、対照群との比較実験(準ランダム化比較試験)を対象とした.3,446件(PubMed:2,271 , CINAHL:1,093 , ERIC:55 , PRDro:27)の論文が抽出された24本が対象となった.歩行練習8本、抵抗運動9本、混合型7本であった.メタアナラシスの効果量としてグループごとの平均値の差を標準化したHedges’ gが使用された.歩行練習の歩行スピードに関する効果量は0.92(95%CI=0.19,1.66;p=0.01)であった.抵抗運動の効果量は小さく、0.06(95%CI=-0.12,0.25;p=0.51)であった.

 

 

Table1:各論文の研究デザイン、患者情報、介入方法、使用したパラメータ、歩行速度の計測方法

Table2:方法論、結果、効果量

 

PEDroスケールについて

http://jspt.japanpt.or.jp/ebpt_glossary/pedro-scale.html

 

Hedges’g=平均値の差  / プールされた標準偏差