神経系の講義資料

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小児PTのメモ

小児、神経、理学療法に関するノート

脳性麻痺児を対象とした最大負荷テストにおける心臓自律神経の反応

Amichai T, Eylon S, Dor-Haim H, Berger I, Katz-Leurer M.

Cardiac Autonomic System Response to Submaximal Test in Children With Cerebral Palsy.

Pediatr Phys Ther. 2017 Apr;29(2):125-128. doi: 10.1097/PEP.0000000000000368.

 腕時計タイプの計測装置を使用.運動中も計測可能である.

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https://www.polar.com/ja

 

トレッドミルによる最大運動負荷試験とその後の心拍と心拍変動に関する研究.対称は脳性麻痺児20人(6~11歳、GMFCS:1~3).安静座位、運動中、運動後のそれぞれ5分間測定した.結果変数は心拍数とRMSSD(連続して隣接するRR間隔の差の2乗の平均値の平方根;迷走神経緊張強度の指標)とした.反復測定による分散分析、多重比較にて検定した.心拍数はトレッドミル試験の最終ステージで安静時より増加した. RMSSDは、トレッドミル試験の最後の2分間で安静時よりも減少した.テスト前後の心拍数とRMSSDの平均値に関する有意差は認めなかった.脳性麻痺児の心臓システムは最大負荷テストに反応することが分かった.

 

TABLE1:基本情報

TABLE2:安静時の心拍数と心拍変動の値

心拍数,SDNN, RMSSD, SD1, SD2, LF/HF,

TABLE3:心拍数とRMSSDの平均値とその95%CI

安静時、運動負荷テストの最終段階、試験終了1分後、試験終了2分後

 

参考(http://www.trytech.co.jp/checkmyheart/glossary.html)

HR          5分間の全心拍数の平均値

Mean(ms)         5分間のRR間隔の平均

SDNN(ms)       5分間のRR間隔の標準偏差

RMSSD(ms)     連続して隣接するRR間隔の差の2乗の平均値の平方根であり、迷走神経緊張強度の指標

NN50      連続した隣接するRR間隔の差が50msを超える総数で、迷走神経緊張強度の指標

pNN50(%)        連続した隣接するRR間隔の差が50msを超える心拍の割合で、迷走神経緊張強度の指標

SD1        プロット散布図の縦軸方向の標準偏差

SD2        プロット散布図の横軸方向の標準偏差

脳性麻痺児の歩行スピードに関するリハビリテーションの効果 システマティックレビューとメタアナラシス

Moreau NG, Bodkin AW, Bjornson K, Hobbs A, Soileau M, Lahasky K.

Effectiveness of Rehabilitation Interventions to Improve Gait Speed in Children With Cerebral Palsy: Systematic Review and Meta-analysis.

Phys Ther. 2016 Dec;96(12):1938-1954. Epub 2016 Jun 16.

 

脳性麻痺児の歩行スピードに関するリハビリテーションエビデンスを追及する目的で実施した.最も効果的な介入を明確にすることが本研究の目的である.2014年4月までの文献を対象にして検索した.方法論に関する質のチェックはPEDroスケールを使用した.リハビリテーションの介入を含む歩行スピードを結果として記載しているRCT(ランダム化比較試験)、対照群との比較実験(準ランダム化比較試験)を対象とした.3,446件(PubMed:2,271 , CINAHL:1,093 , ERIC:55 , PRDro:27)の論文が抽出された24本が対象となった.歩行練習8本、抵抗運動9本、混合型7本であった.メタアナラシスの効果量としてグループごとの平均値の差を標準化したHedges’ gが使用された.歩行練習の歩行スピードに関する効果量は0.92(95%CI=0.19,1.66;p=0.01)であった.抵抗運動の効果量は小さく、0.06(95%CI=-0.12,0.25;p=0.51)であった.

 

 

Table1:各論文の研究デザイン、患者情報、介入方法、使用したパラメータ、歩行速度の計測方法

Table2:方法論、結果、効果量

 

PEDroスケールについて

http://jspt.japanpt.or.jp/ebpt_glossary/pedro-scale.html

 

Hedges’g=平均値の差  / プールされた標準偏差

脳性麻痺児に対するテーピングの効果:システマティックレビュー

Güçhan Z1, Mutlu A2.
The effectiveness of taping on children with cerebral palsy: a systematic review.
Dev Med Child Neurol. 2016 Aug 1. doi: 10.1111/dmcn.13213. [Epub ahead of print]

What this paper adds
・従来の治療と併用したテーピングの使用は活動増加に関して長期的な効果があるように考えられる.
・しかしながら、直接的な効果は不明である.
・また、効果を証明するためのエビデンスが不十分である.

MacMaster大学のcritical reviewのためのガイドラインとSakketのエビデンスレベルを使用した.
http://www.physio-pedia.com/Grades_and_Levels_of_Evidence
http://www.cebm.net/oxford-centre-evidence-based-medicine-levels-evidence-march-2009/


18歳未満の脳性麻痺児を対象とした論文を検証した.9つの論文が対象患者基準を満たしていた. 5つの論文はランダム化試験、3論文は症例集積研究、1論文は単一症例研究であった.中でも4論文はこのレビュー方法に応じると質の高く、うち2論文は脳性麻痺の活動面でテーピングの効果を示していた.

最も高評価であった4論文(*:活動に関するテーピングの効果を示した論文)
Kara KO, Atasavun US, Turker D, Karayazgan S, Gunel MK, Baltaci G. The effects of Kinesio taping on body functions and activity in unilateral spastic cerebral palsy: a single-blind randomized controlled trial. Dev Med Child Neurol 2015; 57: 81–88.
Şimşek TT, Türkücüoğlu B, Çokal N, Üstünbaş G, Şimşek İE. The effects of Kinesio® taping on sitting posture, functional independence and gross motor function in children with cerebral palsy. Disabil Rehabil 2011; 33: 2058–63.
*Ghalwash AM, El-Shennawy SA, Abd-Elwahab MS. Efficacy of adhesive taping in controlling genu recurvatum in diplegic children: a pilot study. Egypt J Med Hum Genet 2013; 14: 183–88.
*Footer CB. The effects of therapeutic taping on gross motor function in children with cerebral palsy. Pediatr Phys Ther 2006; 18: 245–52.

Mini-MACS:脳性まひ児の兆候のある4歳までのこどもたちのための手指操作能力分類システムの開発

Eliasson AC1, Ullenhag A1, Wahlström U2, Krumlinde-Sundholm L1.

Mini-MACS: development of the Manual Ability Classification System for children younger than 4 years of age with signs of cerebral palsy.

Dev Med Child Neurol. 2016 Jun 8.

 

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ポスター

https://www.aacpdm.org/UserFiles/file/SP22-Eliasson.pdf

 

 

 What this paper adds

・Mini-MACSは脳性麻痺の兆候のある1歳から4歳のこどものために使用できる.

・Mini-MACSは両親やセラピストが使用する場合に妥当性と信頼性に関するエビデンスを示している.

 

Mini-MACSのレベル(原文に各レベル間の相違点まで記載があります.必ず確認ください.)

レベル1:簡単に上手に手指操作が可能である.

レベル2:ほとんどの操作が可能である.しかし質、または達成速度が遅くなる部分もある.
レベル3:操作をする場合に多くの制限がある.常に介助が必要である.
レベル4:単純な動作で、非常に限られた簡単な手指操作になる.常に介助が必要で、操作自体にも援助が必要である.
レベル5:操作できない.単純な動作も困難である.

 

両親やセラピストが4歳未満のこともたちをMini-MACSを使用して評価する場合の妥当性と信頼性について.Mini-MACSはMACSを修正してつくられたものです.このMini-MACS テスト版の内容妥当性と評定者間信頼性を調査した.61名の脳性麻痺の兆候があるこどもたちの評価を実施した.父親または母親と二名の作業療法士によって64項目が評価された.両親とOT間の結果の一致性はICCによって算出した.ICCは高い値を示した.

Table2:MACSとmini-MACSの要約


Table3:mini-MACSを使用したあとの両親とOTの感想
mini-MACSは確実に簡単に理解できたか?

    こどもたちの能力は選択したレベルに適合していたか
mini-MACSのレベル間の区別は役にたったか
mini-MACSのレベルの5段階制は採点しやすいか、困難か


Table4:ICC(2.1)の結果
参考http://yoshida931.hatenablog.com/entry/2017/01/11/193759
セラピストA vs両親
セラピストB vs 両親
セラピストA vsセラピストB Table5:


Table5:セラピストと両親のレベル一致表

 

 

脳性麻痺児の痙性に対する徒手的評価と電動式評価の違い

Lizeth H Sloot, Lynn Bar-On, Marjolein M van der Krogt, Erwin Aertbeliën, Annemieke I Buizer, Kaat Desloovere, Jaap Harlaar

Motorized versus manual instrumented spasticity assessment in children with cerebral palsy

Dev Med Child Neurol, 2017,59,145-151

 

 対象は10名の脳性麻痺児(男児3名、女児7名、平均年齢11歳±3、6~14歳、GMFCS1~3).機器のでの評価は電動式フットプレートで足関節を100°/秒の速度で可動した.徒手的な評価では足の装置を使用して同じくらいの速度で可動した.関節角度、最大速度、加速度、仕事量、下腿三頭筋、前脛骨筋の筋電図を測定して、他動的なストレッチ時の徒手的評価と電動式評価を比較した.それぞれの足関節の動きを脳性麻痺児の歩行時と比較した.

 強制的な可動の分析結果はその方法によって異なっていた.機器による可動では最大加速度まで到達していた.同じ最大速度でも、下腿三頭筋は機器での測定時がより活動的で、両評価間での筋電図の波形出現開始は一致していなかった(44~72%、k<0).徒手的評価の速度分析は歩行に相応していた.

 加速度の違いが筋の反応の違いの原因であったことが考えられる.伸張反射の速度依存よりも加速度に表れていた.今後の評価機器は、歩行のような動作を再現した動作解析を標準装備するべきである. 

 徒手的な評価の際にはfreedom hand-held force transducer (ATI mini45) を足部の装具に装着した.筋電図の計測にはcometa wirezerを使用した.歩行のデータは14名の脳性麻痺児を対象として動作分析装置を使用して取られた.

 

What this paper adds

同じ速度で計測しても、異なる足関節痙性の評価方法は異種の筋の反応を惹起する.

加速の違いは異なる筋の反応の原因となっているかもしれない.

徒手的な評価は機械的な評価より歩行中の足関節の各速度に適合している.

 

Fig1: 姿勢反射を制限するために股関節屈曲70度の座位でリラックスした姿勢を保持させた.わずかな拘縮があるため膝関節20度屈曲位とした.内側腓腹筋とヒラメ筋を同時に測定.リラックスした座位で、斜めになった背もたれにもたれて計測した.徒手的な評価のために下肢をスタンドの上に固定した.

 

Fig2:足関節可動の速度と加速度について評価時と歩行時を比較した.脳性麻痺患者の代表募集団に基づいて

可動域の機能としての速度と加速度は遊脚期と立脚期で分析された.これらの歩行分析の結果は、ストレッチされた内側腓腹筋とヒラメ筋の機械的または徒手的な評価結果と比較された.ラインは平均値、影の部分が標準偏差、矢印が運動方向を示している.最大値の記載はしていない.また歩行時と評価時では可動域の差があるかもしれないが、比率(0~100%)で標準化した.

 

Table2 機械vs徒手の結果比較

脳性麻痺児の機能的遂行能力に関する筋力と持久力の混合型運動トレーニングの効果

Pediatr Phys Ther. 2017 Jan;29(1):39-46.

Effects of Combined Exercise Training on Functional Performance in Children With Cerebral Palsy: A Randomized-Controlled Study.
Peungsuwan P1, Parasin P, Siritaratiwat W, Prasertnu J, Yamauchi J.

 

この研究の目的は、脳性麻痺児の機能的遂行能力に関する筋力と持久力の混合型運動トレーニングの効果を調査することです.15名の脳性麻痺児を対象として、実験群(トレーニング群とする)と対照群に分類した.トレーニング群のプログラムは8週間実施され、週3回、1日に70分間の筋力強化と持久力強化を組み合わせたものであった.調査期間中、両群ともに通常の訓練は継続していた.8週間のトレーニング後、6分間歩行、30秒間立ち上がり、10m歩行、FRT(functional reach test)を評価した.ベースラインや対照群と比較して、トレーニング群の効果が認められた(本文のTABLE2).混合型運動トレーニングは歩行能力、機能的な下肢の筋力、バランス能力を改善した.

 

TABLE1:被験者データ

 

Fig1:ITT解析の研究計画
ITT解析(intention to treat)
意図した治療に基づく解析.症状の悪化等による被験者群からの脱落があればバイアスになってしまうので、脱落例などの不完全症例を解析対象から除外せず、割付時に割り付けた治療群に基づいて解析を行う.
引用)山本倫生, 森田智視;臨床研究のデザイン法,呼吸 34(5): 479-484, 2015.

 

Fig2:混合型運動トレーニングのイラスト

 

TABLE2:結果
評価項目は、歩行持久力(6分間歩行)、歩行速度(10m歩行)、下肢筋力(30秒間立ち上がり)、バランス(TUG、FRT)とした.ベースラインとの比較、対照群との比較を実施した.有意水準は0.5,0.1,0.01.平均値差、95%CIの記載あり.両群の比較ではベースランを共変量(共変数)とした共分散分析を実施.検定力0.8、α=0.05とした.

こども足部構造測定に関するArch Height Indexの信頼性

Pediatr Phys Ther. 2017 Jan;29(1):83-88.

Reliability of the Arch Height Index as a Measure of Foot Structure in Children.
Drefus LC1, Kedem P, Mangan SM, Scher DM, Hillstrom HJ.

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Anastasia Bjelopetrovich;Effects of Body Weight Loading on Arch Height

Arch Height Indexの信頼性を調査した.対象は30名のこども60足であった.1人目の検者は経験豊富な理学療法士、二人目の検者は小児整形外科研修医と経験豊富な理学療法士とした.座位、立位で左右ともに2回測定した.それぞれの計測は計4回測定した.平均とSDは原文のTable3を参照.ICC(2,1)により検証した.結果、ICCは全て0.76以上となった(結果は原文を参照).

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ICCは以下のページを参照ください
http://yoshida931.hatenablog.com/entry/2017/03/13/153237
http://yoshida931.hatenablog.com/entry/2017/01/11/193759