神経系の講義資料

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

小児PTのメモ

小児、神経、理学療法に関するノート

DMDの新たな効果判定としての6分間歩行

McDonald CM, Henricson EK ,et al; The 6-minute walk test as a new outcome measure in Duchenne muscular dystrophy. Muscle Nerve 41(4),2010,500-510

 

対象群はDMD患児、年齢中央値8歳[5-12]、対照群は健常児、年齢中央値8歳[5-12]とした.6分間歩行を測定し、1分間毎に時間を測定した.右足部外側に歩数計測計を装着した.1分毎に現在の時間と残りの時間を被験者に知らせた.その知らせがあるたびに、その場所にマーカーを設置した.途中立ち止まることや、休憩することは許可した.また転倒した場合もストップウォッチを止めることなく、転倒した時間を記録し場所もマークした.そして怪我ないことを確認して立ち上がりを介助した.実験終了後はすぐに椅子に座らせ、心拍と血圧を測定し、歩数測定器を取り外した.6分間歩行試験の信頼性を検証するために対象群に対して2回評価を実施した(再テスト).1回目の測定の1週間後に2回目の測定を行った.

1回目と2回目に高い相関(r=0.91,ICC[2,1]=0.91)を認めた.Bland Altmanのグラフでは系統誤差が小さいことが確認できた.6分歩行距離、重複歩長、ケイデンス、年齢、身長との関連性はグラフ化して結果を述べている.

 

 

必ず原文をご確認ください

 

音の間隔を利用したDMD児の6分間歩行評価

Hitomi Nishizawa, Hirokazu Genno, et al: Periodic sound-based 6-minute walk test for patients with Duchenne muscular dystrophy :a preliminary study. J Phys Ther Sci 27(11),2015,3473–3479.

 

 

注)メトロノームの音の間隔(周波数)を「音間隔」とします.
この研究の目的は、従来の6分間歩行より正確に耐久性を検査できる指標を探すことです.特に6分間歩行時に流れる定期的な音を基盤に実験した.被験者には最初に、長めの音間隔に合わせて1分間歩行させて、その距離を測定します.音間隔を徐々に短くしていき、それぞれの音間隔で被験者は歩かせます.最適な音間隔は最長歩行距離を示した音間隔とした.決定には最短距離の音間隔も参考にした.この研究はその音間隔に関する歩行期のDMD児と対照群との比較実験である。その結果、DMD児と対照群において従来の方法よりも最適音間隔での6分間歩行距離が拡大した.

健常成人20名、DMD児6名を対象とした.健常成人群の最初の歩行は100歩/分の音間隔で実施した.1分間の歩数が120、 130と徐々に上げていき最大180となるように音間隔を短くした.DMD群の最初歩行は60歩/分で、1分間の歩数が10ずつ増加するように音間隔を短くした.テスト間の休憩時間は1分間とした.最長距離となった音間隔を最適音間隔とした.健常成人群はランダムに2グループに分けた(それぞれのグループをA、Bとして、DMD群をDとする).A、B、Dで比較実験を行った.実験は2パターンで実施された.従来の6分間歩行テスト→最適音間隔試験→最適音間隔での6分間歩行、最適音間隔試験→最適音間隔での6分間歩行→従来の6分間歩行テスト.D群の最適音間隔での歩行距離、1分間の歩数は従来の6分間歩行と比較して拡大した.また健常成人での最適音間隔試験中の最適音間隔1分間の歩行距離は、最適音間隔での6分間歩行距離と相関を認めた.

 

追加)実験中の患者説明

最適音間隔試験中

まず可能な限りこの音に合わせて歩いてください.次に音の間隔は徐々に短くなっていきます.止まれの指示が入るまで同じように歩いて下さい.もし音に合わせることができなくなったら、歩幅は小さくしても構いません.

最適音間隔6分間歩行

 最も最適な音間隔で6分間歩き続けることを説明する.可能な限り遠くに歩くこと、また走ってはならないことを付け加えること.

 

 

 

必ず原文をご確認ください

 

 

 

DMD児のキャストの効果

Glanzman, Allan M, Flickinger, Jean M,et al; Serial Casting for the Management of Ankle Contracture in Duchenne Muscular Dystrophy,Pediatr Phys Ther23(3), 2011, 275–279

 

カルテ調査によるキャスト装着の効果判定.対象は9名のDMD、平均年齢8.9(±2.1).開始時の背屈角度(右左)は-6.2°、-5.2°であった。終了時には右左で膝伸展位12°、11.6°、膝屈曲位7.7°、8.7°改善した.10走行、階段、立ち上がりに変化はなかった.可動域改善と年齢には強い負の相関を認めた.3人には遅れて足部の痛みを訴え、一人には発赤がみられた.固定期間にかかわらず、機能面の低下は認めなかった.
この論文の基盤になっているものは、動物実験において10日間の筋伸張位での固定でサルコメアが有意に増加することにある.また脳性麻痺シャルコーマリートゥース病に対するキャストの効果などの先行研究が紹介されている.
9名のDMD児のカルテ記録を調査した.キャストは1週間毎に角度を大きくするために着け変えられた.装着中も歩行は可能であった.
評価項目は時間(背臥位からの立ち上がり、10m歩行または走行、4段登り)、ROM(背屈角度)とした.評価介入はキャスト開始前、それぞれのキャストを外した後であった.
詳細は本文の表に記載あり.可動域は改善した.
前後差の平均値と標準偏差から95CIを算出
膝伸展足関節背屈右[7.8,16.2],左[6.8-16.8]、膝関節屈曲足関節背屈右[-0.1,15.2],左[2.6,14.7]

 

 

 

必ず原文をご確認ください

広告を非表示にする

Fowler WM Jr, Taylor M:Rehabilitation management of muscular dystrophy and related disorders: I. The role of exercise. Arch Phys Med Rehabil 63(7),319-321,1982

 

訓練の効果判定が行われる際には、障害の進行や機能が低下している程度を考慮すべきである。過用性筋力低下を引き起こす主な要因として、訓練開始時の筋力低下の程度、訓練の強度があげられる。筋線維の変性が最小の初期の段階で開始され、最大値より低い強度のトレーニングであれば、運動療法には害はなく、筋疾患の患者の役に立つであろう。

4人のDMDの子どもを対象とした研究では、最大値より低い負荷量で長時間の等尺性運動を実施した結果、過用性筋力低下は生じなかった。6ヵ月間で、統計学的な有意差はなかったが、わずかなら筋力増強を認め、訓練終了後3か月間持続した。

 

 

 

 

必ず原文をご確認ください

Gibson DA, Wilkins KE: The management of spinal deformities in Duchenne muscular dystrophy. A new concept of spinal bracing, Clin Orthop Relat Res, May (108), 41-51, 1975

筋力グレート(臥位姿勢での検査)

4:適切な動きで検査台から完全に体を上げることができる。

3:適切な動きで身体のどの部分でも上げることができる。

2:体幹または胸郭の動きにともなう筋収縮の確認可能。身体を上げることができない。

1:筋収縮の触診は可能だか、体幹または胸郭の動きは見られない

0:筋収縮の触診困難

 

グループ1:変形なし

装具を使用して歩いているか、最近車いすを使用するようになった群。筋力グレート2または3の比較的に若い群。

グループ2:後弯

傍脊柱筋群の筋力はグループ1よりも低い。主な脊柱の変形は後弯。35度未満の側弯のあるケースもある。

グループ3:後弯と側弯

著明な骨盤後傾を伴う後弯、35度以上の側弯、骨盤の傾斜を全ケースに認めた。

グループ4:重度の側弯(後弯はなし)

もっとも重度な側弯を認める(原文には写真ありFig2)。側弯は35度以上、100度にを超えるケースもある。多くのケースが回旋を伴うが、回旋のないケースもあった。

グループ5:引き延ばされた脊柱

最も年齢の高い群の脊柱はまっすぐで過剰に伸展している(原文には写真、図ありFig3)。側弯、骨盤の傾斜は小さく、骨盤の前傾は正常か前傾位である。

 

2通りの変形の発生機序(原文Fig4 )

パターンA:グループ1→グループ2→グループ3→グループ4

パターンB:グループ1→グループ5

理由はよく分からないのですが、後弯が発生するよりも早く車いす上で脊柱が前弯した姿勢をとるようになったのばパターンBです。全ての患者の変形過程を考える場合には、このパターンBとなることが目標です。そのためには早期からの車いすが必須になった時点から姿勢ケアが重要になります。そのためには手術、体幹装具、上肢での体幹の支持、車いすの改良などが必要になります。

 

必ず原文をご確認ください

Bushby K1, Finkel R,et al; Diagnosis and management of Duchenne muscular dystrophy, part 2: implementation of multidisciplinary care. Lancet Neurol, 9(2), 177-189,2010

 

呼吸器の管理 p180

呼吸ケアの主な目的は合併症の防止と管理です。主な合併症は、効果的な咳ができない、夜間の低換気、睡眠時呼吸障害など、そして最終的には日中の呼吸障害です。非侵襲的換気(NIV)、胚容量の改善、咳の介助などを熟知した専門スタッフがケアチームとなります。

Panel 1 p182

DMD患者への呼吸治療

step1 肺拡張テクニック

FCV<40% バギングやMIEで肺を拡張します

step2 徒手的、機械的に咳を介助

step3 夜間の換気療法

step4 日中の換気療法

step5 気管切開

本人と家族が希望した場合

非侵襲的換気療法が使用できない場合

掛かりつけの病院で非侵襲的換気療法をサポートしていない場合

最適条件のもと非侵襲的換気療法を行っていたにも関わらず重症化して抜管できなかった場合

非侵襲的な処置で分泌物を吸引しても、動脈血酸素濃度が95%以上維持できない場合

 

必ず原文をご確認ください

DMD児を対象としたAFOの効果

Townsend EL1, Tamhane H, et al; Effects of AFO use on walking in boys with Duchenne muscular dystrophy: a pilot study. Pediatr Phys Ther27(1), 24-29, 2015

 

歩行初期の段階でのAFOの効果判定は行われていない.この報告は3名の患者が対象としたパイロットスタディです.2週間の(Dynamic Response)DR-AFO装着または別の介入を行い、1週間のウォッシュアウト期間をもった.評価は10間、または6分間歩行を実施した.DR-AFO装着することで歩行速度と距離は増加した.両親の報告によると3名中2名が転倒することが多くなったということであった.

実験はクロスオーバー試験のデザインが採用された.介入群ではDR-AFOを2週間装着し、対照群ではネオプレン足装具を2週間装着した.その後1週間のウォッシュアウト期間をおき、他方の装具を2週間装着した.その後2週間、どちらかの装具を選択させて2週間装着した.計7週間の実験であった.評価は計5回、ベースラインとそれぞれの期間の終了直後に実施した.評価項目、10分間歩行時間、6分間歩行距離、床からの立ち上がり時間、4段を上る時間.歩行解析は速度、重複歩長さ、歩隔.

結果は原文に一覧表があるので理解できます.

 

f:id:yoshida931:20170223094151p:plain

このように少ない症例でも非常に有益な結果が得られます.推測統計学でまとめがちですが、小児の理学療法士はこのような記述統計学の技能を高めるべきだと思います.