神経系の講義資料

小児PTのメモ

管理者が訳した走り書きなので、詳細については必ず原文をご参照下さい.

心拍変動解析による自律神経機能評価

Pomeranz B, Macaulay RJ, Caudill MA, Kutz I, Adam D, Gordon D, Kilborn KM, Barger AC, Shannon DC, Cohen RJ, et al.

Assessment of autonomic function in humans by heart rate spectral analysis.

Am J Physiol. 1985 Jan;248(1 Pt 2):H151-3.

 

 

 自律神経節遮断薬の使用や姿勢変化から自然発生する心拍の「ゆらぎ」をスペクトル解析により評価した.背臥位での0.12Hz以下の低周波領域は副交感神経により全体的に調節された.低周波領域のゆらぎは、立位で増大し、交感神経と副交感神経が連帯して調整してそれを調整する.高周波領域のゆらぎは、呼吸頻度に応じて立位で減少し、副交感神経のみがそれを調整している.心拍とスペクトル解析は、自律神経機能計測において効果のある非侵襲的なツールである.

【方法】

8人の健常成人男性を被験者とした.呼吸はメトロノームに合わせて15回/分(0.25Hz)とした.2日間連続で昼の12時に肘正中静脈にカテーテルを挿入し、PM1時から4時まで立位と背臥位でスペクトル解析を実施した.その後、遮断薬を注入して測定した.1日目にアトロピン、プロプラノロール (β遮断薬)を注入して、2日目に6人の被験者に対して逆の順で実験を実施した(2人は継続困難であった).先行研究より低周波領域(LF)を0.04-0.12Hz、高周波領域(HF)を0.224-0.28 Hzとした.

【結果】

Fig1 姿勢における心拍変動の違い.背臥位と立位の心拍数とスペクトル解析.

Table1 アトロピン、プロプラノロール投与後の低周波数領域と高周波数領域のパワースペクトル帯の変化率.

最初にアトロピンを注入することにより、両姿勢でHF、LFともに有意に低下している.その後、プロプラノロールの注入してもほぼ変化は認められない.

最初にプロプラノロールの注入することにより、立位のLFのみ有意に低下している.このことからLFが交感神経系の活動を示しているように考えられる.

 

参考)

HFは、迷走神経活動の呼吸性洞性不整脈を反映されるものと考えられている.したがって副交感神経の活動を抑制するアトロピンを注入することでHFのスペクトルは減少することになる.

LFはMayer波と関連する心臓交感神経活動の指標として用いられる場合もあるが、否定的な意見も多い.

Atropine アトロピン

抗コリン作用を有する薬物である。具体的には、ムスカリンアセチルコリン受容体を競合的に阻害することにより、副交感神経の作用を抑制し、胃腸管の運動抑制、心拍数の増大などの作用がある。

Propranolol プロプラノロール (β遮断薬)

心拍をおさえ心臓を休ませる作用があります。作用メカニズムは、心臓にある交感神経のβ受容体を遮断することです。これにより心臓の拍動がおさえられ、血圧が下がります。高血圧症のほか、狭心症不整脈(頻脈)の治療に広く用いられています。

循環器系のほかにも、片頭痛に対する効能があります。この薬を予防的に飲むことで、片頭痛が起こりにくくなるのです。実際に、多くの臨床試験がおこなわれており、片頭痛発作を44%減少させることが示されています。処方の対象となるのは、発作頻度が多く日常生活に支障となるような場合です。